2016/10/13 戦績
基本的には、ドル買ってた巻き戻し相場になりつつある感じでして、本日ニューヨーク時間での集中した米国指標でどうなるかにより、今週の締めまた来週の始まり方が決まるかと思います。何の根拠も無しに申し上げますが、もし多くの金融機関が予想しているようにPPIの物価上昇が確認できれば、本来の利上げに対する意味である物価上昇抑制と言う目標を果たす大義は出来るわけでして、FRBとしては、こと雇用状況だけを注視しているのでは無いでしょうから、まあ「なんとなく年内利上げ?」みたいな感じにならない事も無いような気もしますけど(笑)。
もう、なんか利上げをしたいから、どうにか指標を上げたいと言う本末転倒な状況になっているような感じもあるのですが、もういっそ利上げしてしまって、ダメなら戻すと言う柔軟な対応も必要なのかもしれません。舵が効きにくい大きな船と一緒で、中央銀行の政策は市場で即反映しないため、色々言われがちですが、そこはブレること無く政策を進めて欲しいと思います。FRBだけで無く日銀もECBも、そしてBOEも。
さて、昨日午前10時40分頃から、特にイベント無しにドル円が崩落しました。1時間くらい掛けて約90pips くらいですので、崩落と言う程の崩落では無いのですが、円だけ買われた事を考えますと仕掛けがあったとは思われます。
外国為替の世界、どんなに値が動いても犯行声明が出るのは稀です(笑)。しかも株と違い、1つの注文約定はそこで終わりでは無く新たな注文を招く事が多く、株とは比べられないほど連鎖的な売買がなされます。極端に言えば、今朝9時40分に "あなた" が出したドル円の売り注文が今回の大崩落のトリガーだった可能性もあると言う事です。
株は、株と言うある種 "有価証券と言う物" を株式市場で売りたい人・買いたい人を付け合わあせて売買を成立させてます。ですので「売りたい人が居なければ買えません」「買いたい人が居なければ売れません」ところが外国為替は、銀行など金融機関と通貨を両替する相対取引が基本ですので「売りたい人が居ないから買えない」「買いたい人が居ないから売れない」が存在しません。もし取引先に対して銀行などの金融機関が、外国為替で通貨を「売れません」「買えません」言った瞬間に、その金融機関の信用が地に落ちるためです。
銀行にとっては「不要な米ドル」をお客さんから買い取ったり「手元に残しておきたいユーロ」をお客さんに売ったりしなければならない事もあるでしょう。そのため、1つの取引が次の取引に連鎖します。銀行がお客さんから引き取った「不要な米ドル」を別の銀行に、まるでババ抜きのように売ってしまう必要もありますし「手元に残しておきたいユーロ」が不足したためにユーロをどこか別の銀行から調達する必要があったりするためです。
何でこんな話しなのかと言いますと、大きく値が動いた際に「大口の取引」が影にあるだけでは無く「実は、ほんの些細な事が原因で大きく値が動く事もあるんですよ」と言う事が書きたかったためです。為替介入などで資金が兆円単位で入っても、物の見事に弾き返される事もあれば、ほんの数本(数億円)で一気に方向感が決まる事もあり、非常に面白い世界です。
そうそう、為替介入と言えば、最近では一般紙でも「黒田バズーカー」とか言う2chで比喩されているような言い方を平気でするようでして、言葉の文化と言うのは何なんだろうと考える事もあるのですが、それはさておきまして、為替介入ってどこがやってるかご存知でしょうか? 「日銀だろ?」と多くの方が思っておられますが「ブッブー、外れ」と、うちの弟くん(長男)が言うように申し上げておきます(笑)。
実は「黒田バズーカー」で有名な黒田総裁は、ただの砲手でして、実際には財務省といいますか、財務大臣です。日銀としては中央銀行の専門性から、時期も含めて介入自体が適切かどうか、財務大臣からの電話でのご相談窓口は年中無休24時間営業で受け付けてはおりますが、あくまでも最終判断は財務大臣です。
黒田総裁が単独で出来る介入(類似効果)としましては
日銀総裁の公式ブログ「まだ日銀総裁して消耗してるの?」を更新して「円だけ、なんでこんなに高けーんだよ?バ◯なの?◯ぬの?ねえ、円には◯きる価◯無いの?」と、意見を表明する事で行う「口先介入」
「わし日銀総裁やけど、いまドル円なんぼかのお?」と、突然市中銀行に電話して為替レートを聞き、実はEBS(電子取引システム)が使えない情弱だとカミングアウトしてしまう「日銀レートチェック」
更にその一歩前段階として、部下に「いま、ドルなんぼかな?」と聞いたところ、部下が気を利かせて「あとで、うちの総裁がレート聞きに直接電話すると思いますけど」と市中銀行に根回ししておく「日銀レートチェックの噂」
って言うか、インターネットで外為どっ◯コムのホームページでも見とけよ(笑)。
番外編としまして、介入が来るんじゃ無いかと市場で噂されている最中に、市中銀行のディーラーが勝手に介入っぽくドルをジャンジャン買う事で、介入が入ったと市場に勘違いさせ一気に値を動かし、自分の私利私欲を満たそうとする「なんちゃって介入」(笑)。
※赤文字の部分以外は、全てフィクションです。
これくらいしか、介入(類似効果)としては黒田総裁に権限がございません。なんちゃって介入は黒田総裁すら関係ありませんけど(笑)。
じゃあ、なんで「日銀が介入」って言う記事が出るかといいますと、財務省には外貨を直接買うと言う取引口座が市中銀行との間に無いんです。そう、その取引の部分だけを日銀がしているので、まるで日銀が介入しているように見えると言うわけです。
実際のオペレーションとしては、財務省からホットラインで日銀に介入の要請があり、それを受けて日銀は、市中銀行のうちで少なくても数行に対して外貨購入の依頼を行うそうです。私も、実際にその様子を見た事はありません。
ちなみに介入なんですが、介入直後に事実を発表する、一般的に報道される「為替介入」とは別に、特別な介入方法も存在しております。
財務省が日銀に介入の要請をする際に日銀ディーラーに隠密同心のコスプレ(ディーラーが男性だけの場合には、隠密奉行朝比奈のコスプレの場合もあり)をして介入を実施するように依頼する「隠密介入」また、同じように覆面レスラーの被り物をするように依頼する「覆面介入」などもございまして、最近では「メイド&執事介入」がそろそろ現実味を帯びてきているのでは無いかと言われて、ねえよ(笑)。
※隠密介入も覆面介入も、為替介入の事実を直後に公表しない介入方法と言うだけです。また、赤文字の用語以外は全てフィクションです。
もう、このシリーズやめよう(笑)。
ところで、日本国政府が為替介入で使えるお金って、実際にいくらくらいあるかご存知でしょうか?ああ、ここから先は変なシリーズ無しでお送りします(笑)。
基本的には「外国為替資金特別会計」と言うところからお金を融通しまして、為替介入を行います。ただ、ここのお金なんですが、ぶっちゃけ、この特別会計には外貨だったり金銀なんてややこしい物も多くありまして、円が不足気味です。
ですので、実際には「政府短期証券」を発行して円を調達し、その円を売って介入すると言った方が正解でしょう。さあ、その「政府短期証券」を発行する時に返済の裏付けになるべく保有している「外国為替資金特別会計」の金額、ビックリしますよ。
今年2016年3月末段階*1で、なんと
金
百
伍
拾
八
兆
円
也
(158兆円)
(写真は日本銀行ホームページから拝借させて頂きました)
しかも、毎年ほぼコンスタントに3兆円規模で利益を出しておりまして、1兆円程度をこの特別会計への積み増し、残りを一般予算に組み入れております。大変優秀な財源となっております。ただ、この予算は為替介入だけでは無く、IMF経由での他国から円を含む外貨の特別引き出しへの対応をしたり、金銀パールプレゼント等の決済に使う地金を買ったり保有したりもしております。
勘の良い方は「政府短期証券を発行して円を調達し、その円を売って介入するんだったら、政府短期証券を発行したら介入するってバレるじゃん」と思うかもしれません。しかし、外国為替の資金の受け渡しは以前も書いたのですが「2営業日後」ですので、介入してから「政府短期証券を発行して円を調達」すれば間に合っちゃうんです。
で、この政府短期証券って言うと日銀が買い受けるようなイメージがあるかもしれませんが、以前は確かに日銀が引き受けていた時代もあったのですが、これ今は市中銀行が買ってます。ですので、その金利分は銀行の利益になるわけです。割引債ですので、額面がいくらか知りませんが、仮に1億円なら3ヶ月後に1億円償還9990万円とかで売るわけです。
そして、市中銀行が買う最大のメリットは、マネーサプライが増減しない事。つまり「政府短期証券を銀行が買う、銀行の円が少なくなる」=「現金が債券に変わっただけ」つまりマネーサプライ変わらず、「介入して円がドルに変わり、円を日銀経由で政府から受領、ドルを日銀経由で政府へ引き渡し」=「なんも残高変化なし」つまりマネーサプライ変わらず。当然、マネーサプライが変化しない事が重要では無く、その先のマネタリーベース*2が変化しない事が重要なんですが、まあこの最後の数行はちょっと難しいので無視して下さい*3。
いやあ~ 今日も随分と語って、気持ちいいなあ ヾ(´∇`)ノ゙